「虎に翼」において、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の父・直言(岡部たかし)が逮捕され、「共亜事件」について描かれますが、この事件のモデルとなったのは1934年(昭和9年)に起こった「帝人事件」だと思われます。
そこで、事件のモデルとなった「帝人事件」とはどのようなものだったのかをわかりやすくまとめるとともに、逮捕された直言がどうなるのかについてご紹介していきます。
(※この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。)
「虎に翼」 共亜事件のモデル・帝人事件とは?
「虎に翼」にて描かれる「共亜事件」のモデルとなったと思われる「帝人事件」とは、戦前の1934年(昭和9年) に起きた汚職事件です。
1927年(昭和2年)の金融恐慌によって鈴木商店 (帝人グループ)が倒産し、帝国人絹糸株式会社(現・帝人)の株式が 担保として台湾銀行のものになりました。
台湾銀行も日本銀行から特別融通を受けたため、その担保として同株は日本銀行に入れられました。
その後、帝人が好調に業績をあげたので、同株を入手しようという動きが活発となり、財界グループ番町会が株を入手しました。
台湾銀行所有の帝人株の売買に背任、贈収賄の疑惑があるとして、検察側は大蔵省幹部や商工省国務大臣らを収賄の疑いで逮捕しました。
その結果、多くの逮捕者が出たことで批判が高まり、当時の斎藤実内閣は総辞職に追い込まれてしまいました。
しかし、1937年(昭和12年) には、いくら探しても汚職の証拠が見つからなかったことで、起訴された全員が無罪の判決となりました。
そのため、斎藤実内閣を総辞職へ促すためのでっち上げだった可能性が高いとされています。 また、当時の検察側の取り調べについては、過酷なものだったと言われています。
「虎に翼」 ネタバレ!共亜事件で逮捕された直言はどうなる?
「虎に翼」において、逮捕された寅子の父・直言はどうなるのかをまとめてみました。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
直言の逮捕
ある日、寅子(伊藤沙莉)が帰宅すると家の前に人だかりができており、自宅に来ていた大勢の警察官の1人からこのように言われます。
「帝都銀行経理第一課長・猪爪直言を贈賄の容疑で勾留した。」
そして、家宅捜索の令状を見せられ、警察官は寅子の家の中から直言が保管していた書類を持っていったのでした。
優三(仲野太賀)から、銀行から連行される際、直言は「心配しなくていい」と笑いながら言っていたと聞かされたことで、寅子の兄・直道(上川周作)は「無実の人間はすぐに釈放されるから、朝になったら戻ってくるのでは?」と言いますが、直道の予想は外れ、次の日の朝になっても直言が戻ってくることはなく、事件は大汚職事件「共亜事件」へと発展したのでした。
共亜紡績の株価は高騰すると分かった上で株を入手し、その不正に得た利益を政財界にばらまいたとして、共亜紡績の重役や大蔵省の官僚、現役大臣などの16人が逮捕されたのです。
そして、共亜紡績の株の取引実務を行ったのが直言が務める帝都銀行であり、直言は銀行の理事・高井らと共謀して賄賂を贈ったとして逮捕されたのでした。
直言は無罪
直言は、逮捕から4か月が過ぎても自宅に戻ってくることはありませんでした。
猪爪家の家族はずっと直言の無罪を信じていましたが、朝刊にて、直言が自白し贈賄罪で起訴されることを知り、激しく動揺します。
それから数日後、酷く疲れ切った直言が帰宅しました。
やつれた直言は家族に土下座して謝ります。
そして、家族や弁護を引き受けてくれることになった穂高重親(小林薫)が何を聞いても「私がやりました」と頑なに言い続けるのでした。
ですが、穂高から「態度がすっきりしない」「いわれなき罪をかぶっていないか聞き出して欲しい」と言われたことで、寅子は、女子部の仲間たちや花岡(岩田剛典)らに手伝ってもらいながら、膨大な量の予審記録や調書を細かく調べます。
そして遂に、母・はる(石田ゆり子)が直言と結婚して以来、毎日付けていた手帳と調書の間に辻褄が合わない点を14か所見つけます。
その事実を直言に突きつけたところ、観念した直言は、取り調べ室において高井理事に「自白すれば大臣をはじめ16人に感謝される。だが、このままだと、家族にも辛い思いをさせる。」と言われたことで、仕方なく贈賄を認めたということを話します。
これを聞いた寅子が穂高に報告すると、穂高をはじめ、「共亜事件」の被疑者たちの弁護士たちは裁判にて無罪を主張。
弁護士側が供述の矛盾をいくら指摘しても、検察は自白を盾に認めようとしませんでしたが、直言の弁護をする穂高が「長時間にわたり革手錠をされて追い込まれた」と厳しい取り調べの内容を明かすと、
そのことをきっかけに、警察の高圧的で傲慢な捜査方法への批判が高まっていったのです。
そして、100回を超える公判は結審となり、16人全員が無罪になりました。
その判決から3日後、検察側は控訴を断念し、無罪が確定します。
共亜事件のモデルとなった帝人事件における判決文の意味については、こちらの記事に詳しく書いています↓
「虎に翼」共亜事件の判決文「水中に月影を掬するが如し」の意味は?桂場等一郎モデルは石田和外!
まとめ
「虎に翼」 に登場する 「共亜事件」 は、実在した 「帝人事件」 がモデルとなったと思われます。
「帝人事件」とは、昭和初期に起きた汚職事件です。
起訴された者は全員無罪でしたが、当時の内閣は世の中の批判が高まったことで総辞職をせざるを得ませんでした。
その後、この事件は当時の内閣総辞職を促すためのでっち上げだったとされています。
「虎に翼」 においても、銀行に勤める主人公の父・直言が逮捕され、「自分がやりました」と供述します。 しかし、実際には自白を強要された経緯があり、 直言は無罪でした。
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